薬の瓦版
薬の瓦版=平成27年1月27日= 第9号

以下、テキスト版です。

大田区薬剤師会        薬の瓦版            2015年(平成27年)1月27日(火曜日)     (ほぼ週刊)
発行:大田区薬剤師会
東京都大田区中央3−1−3
アルカディア中央1階
エボラ出血熱2015年は流行に終止符か
 アフリカ中部で過去数十 年間にわたり死者を伴う短 期的な流行を繰り返してき たエボラ出血熱は2014 年、突如、世界規模の緊急 事態を引き起こした。だが、 この危機を医学史上の些細 な出来事に追いやってしま おうとする科学者たちの奮 闘により、流行は下り坂に なりつつある。西アフリカ の貧困地域で1人が感染し たのを発端に、流行は瞬く 間に都市部を飲みこみ、数 千人の命を奪った。恐怖の 波は遠く離れた欧州や米国 へも押し寄せた。
 手をこまねいていた世界 保健機構(WHO)は8月 になって、ようやく未承認 薬などを使った試験的な治 療の実施を許可。ワクチン 開発が急がれる中で、既に 10種類を超えるエボラ治療 薬の有力候補が生まれてい る。
 科学者たちは、いずれに せよ1年以内にエボラ出血 熱を抑制できるとみている が、エボラウイルスはフル ーツバットと呼ばれるコウ モリなど媒介動物の中で生 き延び、接触した人間に感 染する可能性は今後もある と警告する。  治療薬の誕生への希望が 高まる一方、専門家からは 医療インフラの改善や、患 者の隔離・感染経路の特定・ 病気に関する啓蒙といった 感染対策が最善の答えだと いう声も上がっている。

感染性胃腸炎=ノロウィルス=
 ノロウイルスによる感染 性胃腸炎は、以前は「お腹 の風邪」、「お腹のインフ ルエンザ」などと言われた こともありましたが、比較 的最近になってから、その 原因の多くがノロウイルス であることがわかってきま した。
 ノロウィルスとは、ウイ ルスの中でも比較的小型の ウイルスで、従来小型球形 ウイルス(SRSV)また はノーウォーク様ウイルス と呼ばれていました。
 胃酸の中でも生き延び、 アルコールや逆性石けん (塩化ベンザルコニウム等) などの薬剤にも抵抗力があ ります。また、他のウイル スと比べて、環境中や食品 中で比較的長く存在するこ とができますが、増殖する ことはありません。増殖す るのは人間の腸管の中のみ です。
 ノロウイルスの感染力は 非常に強く、わずか10〜1 00個のウイルスでも感染 することがあるといわれて います。さらに、薬剤や環 境中での抵抗力の強さ、人 への感染力の強さに加え、 感染経路の多様性が、予防 対策を困難なものにしてい ます。
 感染者より排泄された糞 便および吐物は、感染性の あるものとして注意が必要 です。ノロウイルスの感染 者を 看護や世話をする機 会に、患者の吐物、便など から直接感染するヒト‐ヒ ト間の感染があることも明 らかにされています。糞口 感染するウイルスなので、 食品衛生上の対策として は、食品の取り扱いに際し て入念な手洗いなど衛生管 理を徹底すること、食品取 扱者には啓発、教育を十分 に行う事が大切です。一般 に、加熱した食品であれば ウイルスは完全に失活する ので問題はないが、サラダ など加熱調理しないで食す る食材が感染源となる。例 えば、汚染された貝類を調 理した手や包丁・まな板な どから、生食用の食材に汚 染が広がる可能性がある。
 身近な感染防止策として 手洗いの励行は重要であ る。また吐物など、ウイル スを含む汚染物の処理にも 注意が必要である。粒子は 胃液の酸度(pH 3)や 飲料水に含まれる程度の低 レベルの塩素には抵抗性を 示す。また温度に対しては、 60℃程度の熱には抵抗性を 示す。したがってウイルス 粒子の感染性を奪うには、 次亜塩素酸ナトリウムなど で消毒するか、85℃以上で 少なくとも1分以上加熱す る必要があるとされていま す。
 治療としてはノロウイル スの増殖を抑える薬剤は残 念ながらなく、整腸剤や痛 み止めなどの対症療法しか ありません。



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