薬の瓦版
薬の瓦版=平成27年5月11日= 第21号

以下、テキスト版です。

大田区薬剤師会        薬の瓦版            2015年(平成27年)5月11日(月曜日)     (ほぼ週刊)
発行:大田区薬剤師会
東京都大田区中央3−1−3
アルカディア中央1階
高齢者の安全な薬物療法
慎重に服用して頂きたいお薬
 「高齢者に対して特に慎 重な投与を要する薬物のリ スト(案)」(日本老年医 学会2015)が公表され ました。
 ガイドラインでは、精神 疾患や神経疾患、呼吸器疾 患、循環器疾患、在宅医療 など高齢者の薬物療法で遭 遇する頻度の高い疾患や病 態、さらに特別な配慮が必 要な医療現場など15領域を 設定。初版から糖尿病、脂 質異常症、腎疾患、筋骨格 疾患、在宅医療、介護施設 の医療、薬剤師の役割を新 設した。ストップの薬剤リ ストは、75歳以上か75歳未 満でも筋力や心身の活力が 低下した高齢者を主な対象 としており、代表的な一般 名や対象となる患者群、主 な副作用や中止を考慮すべ き理由などを記載してい る。
 このリストの意味は、高 齢者で増加する薬物有害作 用 (広義の副作用:アレ ルギーなど確率的有害作用 の他に、過量や効き過ぎに 由来する有害作用を含む) を回避する方策の一つとし てこのリストが作成されて いる。
 リストの薬物は、高齢者 で、重篤な有害作用が出や すい、あるいは有害作用の 頻度が高いことを主な選定 理由とし、 安全性に比べ て有効性に劣るもしくはよ り安全な代替薬があると判 断された薬物である。
 リストの導入により、特 定の薬物の有害作用リスク を減らすだけでなく、多剤 併用の改善を介して服用率 の改善、相互作用の減少、 医療費の削減といった効果 をもたらすことが期待され ている。
 基本的にリストの薬物は 高齢者に処方しないことが 望ましいが、リスト薬の処 方を完全になくすことは困 難で、高齢者の専門外来で も該当薬の処方がみられ た。
 服用中の場合には、病状 から薬物の適応を再考し、 中止可能と判断できれば中 止して経過観察する。中止 が困難な場合は、代替薬へ の切り替えを考慮する。適 当な代替薬がない(しかも 効果ありと判断される)、 あるいは治療歴から変更が 困難な場合は、注意しなが ら継続となる。医療者向け の「高齢者の安全な薬物療 法ガイドライン(指針)」 を10年ぶりに見直してお り、中止を考えるべき医薬 品約50種類を挙げ、やむを 得ず使う場合の方法も盛り 込んだ案をまとめた。高齢 者は複数の病気を抱え、い ろいろな薬を飲み続けてい る人が多い。加齢に伴って、 薬の成分を体外に出す腎臓 や肝臓の機能が弱まってい る場合もある。
 老年医学会が初めて指針 を出したのは2005年。 その後、新しい薬が出たり、 各学会で治療指針が見直さ れたりしたため、厚生労働 省の研究班と老年医学会の 作業班で改訂作業に入っ た。今回の案は、2千本を 超す国内外の論文をもとに まとめた。高齢者の病気に 関連する15学会などにもチ ェックを依頼した。
 厚労省研究班の研究者代 表である秋下雅弘東京大教 授(老年病科)は「医師や 薬剤師だけでなく、一般の 人も自身や家族の薬につい て知ることができ、医師と の話し合いの時に役立つだ ろう。ただ、『ストップ』 に載っているからと自己判 断で中止すると、悪化する 場合もあるので、主治医に 相談してほしい」と述べて いる。

★薬物の種類リスト★ 降圧薬、血管拡張薬、 抗不整脈薬、抗血小板 薬、睡眠薬、抗不安薬、 抗うつ薬、抗精神病薬、 抗パーキンソン病薬、 抗てんかん薬、非ステ ロイ ド性消炎鎮痛 薬、血糖降下薬、制吐 薬、平滑筋弛緩薬、腸 管鎮痙薬、男性ホルモ ン、女性ホルモン、甲 状腺ホルモン、鉄剤、 ビタミンD



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